教化センターリーフレットA「今月のことば」−20112月号(284

一切の有情は

みなもって

世々生々の父母兄弟なり

『歎異抄』

 

宇宙探索機『はやぶさ』が小惑星「イトカワ」から回収したカプセルの中から約千五百個の微粒子がでてきました。この微粒子を調べることで太陽系宇宙の起原が解明されると期待されています。そして太陽系の惑星の一つの地球がどのようにしてできたかもより明らかになるでしょう。科学の進歩には驚くばかりです。

太陽系の宇宙が誕生したのは四十六億年前で地球は四十億年前であるといわれています。太陽系の惑星の一つの地球も地殻変動を繰り返し現在のような地球になり、ミトコンドリアから生命が誕生し、多くの動植物に進化してきました。現代の人間の起原であるホモサピエンスの歴史はわずかに三万年だといわれています。しかし宇宙と地球が繋がり、共存共生して現在に至ったことを忘れてはなりません。

ところが人類は共存共生を壊すような争いを繰り返し、人間の都合のいいように自然を破壊し、地球を温暖化し、多くの災害を発生させるようになっています。科学が発展し、人間が快適豊かに暮らせるようになった半面、多くの犠牲も生み出してきたのが現実だといえます。全ての人間が共存共生の原点に立ち返ることが求められているし、そうしないと人類も滅んでしまうという危機を感じるのは私だけではないと思います。

特に今の社会は一切のものが繋がりをもって生きていることの自覚が希薄です。だから「絆」ということが、よくとり上げられます。親子、兄弟、近所、の「絆」が失われ、「無縁社会」ということさえいわれています。孤独と不安により、引き篭もりや自死する人があとをたちません。こうした現状をどのように受け止め、乗り越えていくかが大きな課題となっています。

「今月のことば」はすべての有情(人間)は過去も現在も未来も繋がって生きてきたという生命の尊厳と重みに気付かせていただく言葉だと思います。 

 

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